【言葉と理解】



通常、子供が1歳を過ぎると、喃語から 一語文 「ワンワン」「ブーブー」「マンマ」など、一語で話す言葉 )へと言葉が発達し、
2歳頃から 二語文 「ママ ネンネ」「マンマ チョウダイ」「ワンワン イタ」のように、
名詞と動詞を使い、助詞を使わない簡単な文
)を話すようになります。
しかし、発達の仕方は個人差が大きく、言葉が遅いのでは?と心配する親御さんも珍しくありません。
言葉は、子供の発達の中でも、一番目に見える部分なので、とかく他のお子さんと比較しがちですが、
焦るあまり、無理矢理言わせようとするのは、かえって逆効果です。

一口に言葉と言っても、 理解している言葉 使う事の出来る単語 の二種類があり、
前者は後者の約10倍程度あると言われています。
話す言葉が少なくても、親の言う事を理解出来、指示に従える場合は、理解している言葉は沢山あるけれど、
まだ表には出てきていない、いわゆる言葉を溜め込んでいる状態である、と言う事が出来るでしょう。
子供の言葉の理解については、 指差し の有無が非常に重要で、
子供が 「あれ見て」と何かを指さす か、また 何かを見つけたり要求する時に指を差す か、
「どれ?」と聞かれた時に指を差して応える かどうかがポイントです。
これらは通常、生後9ヶ月頃から1歳の誕生日過ぎ位までの間に出来るようになると言われていて、
発達障害の子供の場合には出現が遅れ、言葉の発達も遅れます。

また、 クレーン現象 と言って、要求をする際に指さしではなく、
大人の手を引っ張って目的を達成させようとする動作が現れる事があります。
主に、言葉が出る前の段階に起こるもので、発達障害の子供によく見られますが、
健常な子供でも、8ヶ月〜12か月頃に一時的に行う事があります。
いずれも、言葉が出てくる頃にはなくなります。

興味の対象も重要で、好きなものの言葉はよく知っているのに、
父親や母親など身近な人間の事には関心が無い場合は、要注意です。
特に広汎性発達障害の子の場合、興味の幅が極端に狭いのが特徴の一つですが、
最初に言う言葉は「電気」や「信号」などで、「パパ」や「ママ」などは一向に言わないケースがよくあります。
そういった子供の場合、ある程度言葉が増えてきても、
名詞に対して動詞や形容詞の語彙が極端に少ない という現象がよく見られます。

言葉の遅れの最低ラインは、 「2歳までに発語が無い、3歳までに二語文が無い」 と一般には言われています。
但し、これはあくまで医学的な定義なので、実際には、これらをクリアしていても、遅れのあるケースはあります。
言葉の遅れの原因 は色々考えられますが、基本的に 1歳6ヶ月までに発語が無い
発語はあったもののあまり言葉が増えない 、もしくは、 出ていた筈の言葉が消えた などの場合には、
専門機関に相談 する事をお勧めします。

標準的な言葉の発達については、下記の表( 0歳 1歳 2歳 3歳 4歳 5歳 6歳 7歳 )、
及び 乳幼児の言語機能通過率 を参考にして下さい。




0歳

・言葉を覚える時期

通過率
60〜70%
通過率
80〜90%
行動
0歳1ヶ月
 ・「あ〜」「く〜」など、話をするように声を出す(クーイング)
0歳1ヶ月
 ・音や言葉を聞き分けて反応する
0歳3〜4ヶ月
 ・くすぐりや語りかけ、「いないいないばあ」などで、声を出して笑う
0歳4ヶ月
 ・甲高い声を上げる
0歳6ヶ月
 ・音や声のする方に振り向く
0歳7ヶ月
 ・「ブー」や「バブバブ」など、喃語を盛んに言う
0歳9ヶ月
 ・「イヤイヤ」「ニギニギ」「バイバイ」などの動作をする
0歳10ヶ月
 ・「いらっしゃい」「ばいばいしましょう」など、大人の言葉を理解して行動する
 ・「パパはどこ?」「ママは?」などと話し掛けると、そちらを見る
 ・字を書く、櫛を使うなど、大人のやる事をやりたがる
 ・テーブルを回って、欲しい物を取りに行く
0歳11ヶ月
 ・意味無く「パパ」「ママ」「マー」などを言う
0歳11ヶ月
 ・食べ物の事を「マンマ」と言う(言葉と物の関係を理解している)
 ・熱い物を経験すると、目の前にあっても「あちち」と言って触らなくなる
 ・「駄目」という言葉に反応する
 ・絵本を飽きずに見る
 ・絵本などのページをめくる




1歳

 ・言葉を使い始める時期。

通過率
60〜70%
通過率
 80〜90% 
行動
1歳0ヶ月
 ・簡単な体操やお遊戯を真似るなどの、動作模倣が出来る
 ・身近な人が発した言葉の発音を真似ようとする
1歳0ヶ月
 ・くしやブラシ、鉛筆などの道具を見ただけで、模倣的に使用する
 ・自分の家の前やお菓子の戸棚の前など、よく知っている場所に来ると、指を差したり「アーアー」と言って教える
1歳2ヶ月
 ・意味を持って「パパ」「ママ」「マー」などを言う(例えば、何かを欲求したい時に「マー」などと言って来るなど)
1歳3ヶ月
 ・絵本を見て、知っている物の名前を言ったり、指で差したりする
 ・「新聞を持ってきてちょうだい」「箱の中に○○を入れて」等の簡単な言い付けを理解して、指示に従う事が出来る
 ・目、鼻、口、その他身に付けているものを尋ねると、指で差す
1歳4ヶ月
 ・「パパ」「ママ」「マンマ」など、意味のある単語を 3語以上 言う
1歳6ヶ月
 ・ 単語15〜20語
1歳6ヶ月
 ・本を読んで、とせがむ
 ・本を読んでいるように、何かしきりに言っている
 ・自分の名前を呼ばれると、「はい」と返事をする
1歳9ヶ月
 ・お話を聞く事が好き
 ・「お父さんはどこに行ったの?」などの簡単な質問に、「あっち」「会社」などと答える
 ・大人の言った単語を、そのまま真似して言う
 ・欲しい物があると、「ちょうだい」と言って、貰いに来る
 ・台を使って、高い所の物を取る
1歳11ヶ月
 ・目、鼻、口、手、足、お腹の内、4つ以上指し示すことが出来る




2歳

 ・言葉が急増し、つかえたり繰り返したりが目立つ時期。
 ・「何?」「どこ?」「誰?」などの質問を盛んにする。
 ・「どうする」「どうしている」「どうした」など、状況の報告が出来る。
 ・「帽子をかぶって、靴を履いて下さい。」など、二つの指示に従える。
 ・「大きい」「長い」が理解出来る。

通過率
60〜70%
通過率
80〜90%
行動
2歳0ヶ月
 ・ 単語200語
 ・ 二語文 が出始める
2歳0ヶ月
 ・絵本を、かなり長い間一人で見て楽しんでいる
 ・いちいち「なあに?」と聞く
 ・「パパ 会社 行った」などの簡単な文章を言う
 ・言いたい事が沢山あって、「あのね」と話し掛けてくるが、後が続かない
 ・童謡に節を付けて部分的に歌える
 ・赤、青などの色の名前が分かり、聞かれたら正しい色を差す(但し、色の完全な理解は4歳0ヶ月前後)
2歳3ヶ月  ・絵本の車、バナナ、帽子、はさみなどの絵を指して「何?」と聞くと答える
2歳3ヶ月
 ・絵本を見せながら「字を書く物はどれ?」「掃除をする物」「紙を切る物」「水を飲む物」と聞くと、
  それぞれ鉛筆、ほうき、はさみ、コップを指し示せる
2歳6ヶ月
 ・ 単語400語
 ・ まんべんなく二語文を操れる
2歳6ヶ月
3歳3ヶ月
 ・自分の姓名と性別を言う
 ・自分の名前を入れて話をする




3歳

 ・「いつ?」「どうして?」「どんな?」など、日常生活に関する言葉はほぼ完成し、大人と会話が出来るようになる。
 ・助詞を使える。
 ・ままごと、電話ごっこ遊びなどで、役になって交互に言葉のやりとりが出来る。

通過率40%
通過率
60〜70%
通過率
80〜90%
行動
3歳0ヶ月
 ・ 単語800語
 ・ 三語文 以上の 複語文 が出始める
 ・指示に従う(「あれ持ってきて」というと持ってくる、 簡単な動作で指示を行うなど)
3歳0ヶ月
 ・「ぼく」「わたし」などと言う
 ・何かを一つ持っている時、更に「もう一つ(ちょうだい)」と言う
 ・幼稚園など集団の中で、名前を呼ばれると返事をする
3歳6ヶ月
 ・テレビで、子供が主人公になっている物語を熱心に見る
3歳6ヶ月
 ・他の子に、「〜しようか」と誘いかける
3歳0ヶ月
3歳6ヶ月
 ・聞いていた話が途切れそうになると、「それでどうしたの?」などと催促する
3歳0ヶ月
 ・自分が使いたい物を友達が使っている時、「貸して」と言う
3歳0ヶ月
4歳6ヶ月
 ・絵本を見ながら、子供同士で色々な事を話し合う
3歳0ヶ月
4歳6ヶ月
 ・見聞きした事を、母親や先生に話す




4歳

 ・「さっき、スーパーで買った袋のお菓子ちょうだい。」など、完全な三、四音節語、五、六語文を話す。
 ・相手や話題に合わせる事が出来る。
 ・脈絡のある話が出来る。
 ・動物や色の名称を思い出して、4つ以上言える。
 ・発音がほぼ完成する。

通過率
40%
通過率
60〜70%
通過率
80〜90%
行動
4歳0ヶ月
 ・ 単語1700語
 ・色を理解している
 ・簡単な反対類推が出来る
3歳0ヶ月
4歳0ヶ月
4歳6ヶ月
 ・経験した事を他の子に話す
4歳6ヶ月
 ・前後上下を理解出来る
3歳6ヶ月
4歳6ヶ月
5歳0ヶ月
 ・曜日を知っている
4歳0ヶ月
5歳0ヶ月
 ・自分の名前のひらがなが読める
3歳6ヶ月
5歳6ヶ月
 ・テレビで見た事を話題にして、友達同士で話をする
3歳6ヶ月
5歳6ヶ月
 ・絵や字を間違えると、消しゴムを使って直す
3歳0ヶ月
6歳0ヶ月
 ・他の子の遊びに加わる時、「入れて」と言う




5歳

 ・「左手、右耳、左目はどこ?」と聞かれて、正しく指し示せる。

通過率
40%
通過率
60〜70%
通過率
80〜90%
行動
5歳0ヶ月
 ・寒い、暑いなどの抽象語を理解している
4歳0ヶ月
5歳0ヶ月
6歳0ヶ月
 ・分からない字があると大人に聞く
4歳6ヶ月
5歳6ヶ月
 ・数字を拾い読みする
4歳6ヶ月
5歳6ヶ月
 ・自分の名前をひらがなで書く
4歳6ヶ月
5歳6ヶ月
 ・さいころの数が分かる
3歳6ヶ月
6歳0ヶ月
 ・時計を見て何時か興味を持つ
4歳0ヶ月
5歳6ヶ月
 ・「た」の付く言葉、「か」の付く言葉などと考える
4歳0ヶ月
6歳0ヶ月
 ・自分の家の住所番地を正しく言う
4歳6ヶ月
6歳0ヶ月
 ・かるたをほとんど取る
4歳6ヶ月
5歳6ヶ月
6歳0ヶ月
 ・友達とかるたを取って、どちらが勝ったか数えて決める
4歳6ヶ月
6歳0ヶ月
 ・ひらがなの短い言葉を、一字ずつ拾い読みする
4歳6ヶ月
6歳0ヶ月
 ・数字を書く
5歳0ヶ月
6歳0ヶ月
 ・なぞなぞをする
5歳0ヶ月
6歳0ヶ月
 ・しりとりをつなげる




6歳

 ・概念の理解は、個人差が大きい。
 ・比喩などを理解出来る。
 ・単語の音節分解や、文字との対応が出来る。
 ・春夏秋冬が分かり、その季節の絵を指し示せる。
 ・絵本や紙芝居を見て、人物や動作について正しく叙述する事が出来る。
 ・「立って、椅子の上に箱を置いて、ボールを先生に下さい」など、三種類の動作を一度に言われて実行出来る。
 ・必要に応じて電話をかけて話が出来る。

通過率
40%
通過率
60〜70%
通過率
80〜90%
行動
5歳0ヶ月
6歳0ヶ月
6歳6ヶ月
 ・ひらがながほとんど読める
5歳0ヶ月
6歳6ヶ月
 ・ブランコなどの回数を正しく数えて、順番を変わる
4歳6ヶ月
6歳6ヶ月
 ・尋ねられると、幼稚園や学校に行く道順を説明出来る
4歳6ヶ月
6歳6ヶ月
 ・絵本の字を、意味の通じるように読む
5歳0ヶ月
6歳6ヶ月
 ・今日は何曜日か、大抵分かる
5歳0ヶ月
6歳6ヶ月
 ・自分の誕生日が何月何日か知っている
5歳0ヶ月
6歳6ヶ月
 ・トランプの神経衰弱をする
5歳0ヶ月
 ・父母の年齢に興味を持って尋ねる
5歳6ヶ月
7歳0ヶ月
 ・字が主体のひらがなの本は、大概読める
4歳6ヶ月
7歳0ヶ月
 ・自分の発音がおかしい事に、自分で気付いて直す
4歳6ヶ月
7歳0ヶ月
 ・漫画の本を、自分で理解して見る
5歳0ヶ月
7歳0ヶ月
 ・幼児語を、ほとんど使わなくなる
6歳0ヶ月
7歳0ヶ月
 ・日付を理解して、正しく読む




7歳

通過率
40%
通過率
60〜70%
通過率
80〜90%
行動
6歳6ヶ月
7歳0ヶ月
 ・時計の針を、正しく読む
就学時
 ・ 理解している単語 が約 6000語
 ・ 日常生活に用いる事の出来る語彙 が約 3000語




「日本版デンバー式発達スクリーニング検査」「津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法」より。

上記の表を用いて発達の遅れを診断する事が出来るのは、臨床心理士や発達医などの専門家だけ です。
適切な指導、療育を受ける為にも、疑問や不安がある場合には、必ず専門の機関を受診して下さい。




100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!