【広汎性発達障害(PDD)によく見られる行動】
診断基準になっている症状以外にも、広汎性発達障害の子によく見られる行動がいくつかあります。
但し、これらの行動は定型発達でもする事があります。(その場合は一過性ですが)
おや?と思っても、しばらくはお子さんの様子を観察してみて下さい。
新生児期
・非常におとなしく全く手がかからない、もしくは常に抱っこしていなければ寝ないなど非常に手がかかる
⇒
感覚異常
の可能性があります
・母乳やミルクを飲むのが極端に下手
⇒
触覚異常
の可能性があります
・抱っこやおんぶをしようとすると、そっくり返る
⇒
触覚異常
の可能性があります
⇒手足を突っ張らせる動作が見られる場合は、
脳性麻痺(CP)
の可能性もあります
乳幼児期
・人見知りや場所見知りを全くしない、もしくはひどい人見知りや場所見知りがある
・場や気持ちの切り替えが苦手
・一人遊びが得意で、放っておくと延々と一人で遊び続ける
・遊びに介入される事を拒む
・遊び方に発展性が無い
・耳は聞こえているようなのに、名前を呼んでも振り返らない事が多い
⇒
聴覚異常
の可能性があります
・フェンスや一列に並べた玩具などの前を行ったりきたりしながら、
横目
で眺める
⇒
視覚異常
や
チック症
の可能性があります
⇒片目で見る事が多い場合は
斜視
の、顔を傾けて見る場合は
斜頚
の可能性もあります
※チックや斜視、斜頚に関しては、発達障害と併発する子供も多いと言われています。
・電光掲示板や信号機など、
点滅する光に見入る
⇒
視覚異常
の可能性があります
・風車や扇風機、室外機や床屋の回転灯、自転車・自動車のタイヤなど、くるくる回るものに興味を示す
⇒
視覚異常
の可能性があります
・ベビーカーやミニカーをひっくり返して、タイヤを回す
(
感覚遊び)
⇒
触覚異常
の可能性があります
・積木やブロックなどを積んだりせず、ひたすらかき混ぜる(
感覚遊び
)
⇒
触覚異常
の可能性があります
・本を機械的にめくり、その動きをじっと見る
⇒
視覚異常
の可能性があります
・標識やマークなどをよく覚える
⇒
視覚異常
の可能性があります
・型はめやピクチャーパズルは得意だが、キューブパズルやジグソーパズルは苦手
⇒
絵ではなく、型のみで判断している可能性があります
※
視覚異常
の一種です
・いつも同じ場所に物が無いと気が済まない
⇒
同一性保持
の可能性があります
・
クレーン
(他人の手を使って目的を達する事)で意思を伝えようとする
・言葉は遅いのに、記号や文字、数字をよく知っている
⇒
ハイパーレクシア(過読症)
の可能性があります
・名詞ばかり知っていて、動詞や形容詞の語彙が一向に増えない
・発語に対して、意味を正しく理解している言葉が少ない
・話し言葉に、人称の逆転が見られる
・「行ってらっしゃい」「ただいま」などの会話上の言葉に、関係の逆転が見られる
・ここ、それ、そこ等の指示語を理解しにくい
・否定文で言われると理解しにくい
・本やテレビのセリフを覚えて再現する
※ひとりごとの場合もあれば、他人との会話の中でセリフを用いる事もあります
・
バイバイやピースをする時に、手の向きが逆(
逆さバイバイ
・
逆さピース
)
⇒自己と他者の関係を把握する力が未熟な可能性があります
・テレビやビデオの登場人物に対して、本気で怒ってしまう
⇒ファンタジーの世界へ没頭してしまっている可能性があります
・目的なく部屋を走り回ったりする
⇒
多動
の可能性があります
・姿勢が悪い、すぐにゴロゴロする
⇒
低緊張
の可能性があります
・飛び跳ねるようにして歩く
⇒
低緊張
の可能性があります
・
奇声
をあげる
・先が見通せなかったり不安になると、
パニック
を起こす
・
自傷行為
や
他害行為
がある
・寝付きが悪い、夜中にたびたび目を覚ますなど、
睡眠障害
がある
※心身の発達に支障が出るので、3歳までに改善しない場合は、薬を使う事もあります
・叱責の声が苦手で、他の子が怒られていても、泣いてしまう。
幼児期以降
・場の雰囲気が読めない
・曖昧な言い回しや言葉の裏を理解出来ず、
相手の言った事をそのまま受け止めてしまう
⇒冗談が通じない為、トラブルは勿論、からかいやイジメの対象になる事もあります
・思った事を、そのまま口にしてしまう
⇒悪意は無いが、失礼な事も平気で言ってしまう為、トラブルになりやすい
・知っている筈の事柄を、何度も聞いてくる
・集団の中に入ると、自分も言われているという事が理解出来ない為、指示が通りにくい
・大人、もしくは年上、年下の子供としか遊べない
・声のトーンが一本調子で機械的
・状況や相手によって喋り方を変えられない
※敬語の使い分けが困難なケースもある
・声の大きさが調整出来ない
・三角形が上手に描けない
⇒模倣能力に問題のある可能性があります
・手先が極端に不器用で、ハサミやお箸、運筆が苦手
⇒
発達性協調運動障害
の可能性があります
・極端な運動音痴
⇒
発達性協調運動障害
の可能性があります
・自由画や自由工作が苦手
⇒具体的な課題やお手本を与えられると、きちんと作れる子も多いです
・お遊戯やダンスの手足が左右逆になる
・鏡文字を書く
⇒
学習障害
の可能性があります
・長期的な記憶力に優れ、かなり以前の事を忠実に再現したり、昔の不快な記憶を忘れられずに、さも今あった事のように突然言い出す事がある
・人を遠くから大声で呼ぶ、近寄ってきて話しかけない
・分離不安がある
・思い通りの答え方を相手がするまで、同じ質問を何度もする
⇒
言葉のクレーン
と言って、「〜と言って」など、自分の好む言い方を相手に強制する場合もある
・時計やカレンダーにこだわる
・「勝ち」や「1番」にこだわり、ゲームに負けると本気で怒ったり、やめてしまったりする
・一度覚えたルールはきちんと守るが、それ以外のパターンが受け入れられなくなる
・ルールを守らない人が許せず、相手が誰であれ、又状況がどんなであれ、注意したり怒ってしまう
⇒言っている事は正論の場合が多いので、厄介です
・出来なかったり、分からない事があっても、中々相手に伝えられない。
・知らない人にいきなり話し掛けたり、小学生でも異性に対してベタベタしたりするなど、他人との距離感がおかしい